Software-Defined-Receiver (SDR)、オープンソース化へ
フィンランド測地研究所(FGI)は、Software-Defined-Receiver (SDR)をオープンソースとして国際的なGNSSコミュニティ向けに公開することを発表しました。GSRxソフトウェアレシーバは、堅牢で耐障害性に優れた高精度な位置・航法・タイミング(PNT)のための新しい受信機処理アルゴリズムを開発、テスト、検証するための国内および海外のさまざまな研究開発プロジェクトにおいて、過去10年間研究プラットフォームとして幅広く使用されてきました。
FGI-GSRxのオープンソースリリースにより、サードパーティの開発者、研究者、学生は、固有のGNSS受信機の中核機能を実際に開発する必要なく、独自の革新的なアルゴリズムを開発、テスト、検証するためにプラットフォームを利用することができます。FGI-GSRxは柔軟なインターフェースと設定ファイルを提供し、GNSS受信機に関する基本的な知識を持つ研究者なら誰でも、異なる受信機処理段階で独自のコードやアルゴリズムをさらに実装することができます。これにより、ユーザーは実際の実装をより詳細に考えることなく、コードをより深く理解することができます。
FGI-GSRxは、過去のいくつかの研究開発プロジェクトにおいて、GNSSジャミングやスプーフィング事象を検出するためのアルゴリズムを開発するために使用されてきました。また、ユーザーに耐障害性のあるPNTソリューションを提供するための緩和アルゴリズムの開発にも使用されています。
ソフトウェア受信機は、大学やその他の研究機関において、大学院レベルの学生や初期段階の研究者がGNSS受信機の開発の実地経験を積むためのトレーニングツールとして活用することが可能です。また、SDR実装のベンチマークとして、GNSS業界全体で利用することができます。
FGI-GSRxの詳細について
オープンソースのFGI-GSRxはこちらから入手可能です。
SDRにより、変化の激しい業界において独自にアルゴリズムの最適化とテストを行うことができます。それゆえ、マルチコンステレーションFGI-GSRx受信機は、多様性と精度の向上を提供します。
FGI-GSRxが開発された当初は、ガリレオのGIOVE AとGIOVE Bという2つのIOV(In-Orbit Validation)衛星を追跡することが出来ました。それ以来、FGIの研究者は、2013年にガリレオ、2014年初めに中国の衛星航法システムBeiDou、2014年末にインドの地域衛星航法システムNavIC、2015年にロシアの衛星航法システムGLONASSを搭載して、ソフトウェア受信機に新しい機能を継続的に開発しています。
また、FGI-GSRxソフトウェア受信機は、GNSSの基本教科書の1つであるケンブリッジ大学出版局の書籍「GNSS Software Receivers」(次版)とタイアップし、20年夏の出版を目指して現在作成中です。